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日本舞踊【京鹿子娘道成寺】舞台の裏側-7
さあ、幕が開きます。
舞台設営・最終チェックに追われていたスタッフさんたちは、いっせいに舞台上から姿を消していきます。
完全にひとりになりました。
【京鹿子娘道成寺】の世界だけが、私とともにあります。
最高のコンセントレーションで、こころとからだのバランスを整えて、その時を待ちわびます。
そしていつでも、その瞬間は、緊張に満ちています。
逃げ出したいくらいのギリギリの感覚。
「ああ、たどり着いた。やっとこの場所へ。」
「たくさんの時を越えて、やっとこの場所へ。」
そして、音楽とともに、緞帳[どんちょう]があがります。
日本舞踊 長唄【京鹿子娘道成寺】の開演です。

花の外には松ばかり 花の外には松ばかり
暮れ染めて鐘や響くらん
鐘に恨みは数々ござる

幕が開き、一瞬のどよめきのあと、静寂が訪れます。
お客様の目線は、いっせいに舞台に注がれていきます。
そして、この瞬間は日本舞踊家にとって、観客と呼吸を合わせて、一体となるための、
大切な瞬間でもあるのです。
かけがいのないこのすべてが一体となるこの瞬間に、
舞踊家は、すべてをかけるのです。
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【京鹿子娘道成寺】舞台裏側 ]