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日本舞踊【京鹿子娘道成寺】舞台の裏側-6

そして、緞帳[どんちょう]の中、多くの舞台スタッフさんが、慌しく舞台の準備を進めているところへと、足を踏み入れます。

板に足を踏み入れた瞬間に、解けかけた緊張が、一気に湧き出してきます。

例えるなら、お湯が沸騰する瞬間のような感じです。

舞台監督さんと少ない言葉を交わし、後見さんが、最終の衣装チェックと、引き抜きの段取りを、私の姿を見ながら、 イメージシミュレーションしています。

師匠が、舞台まで様子を見に来てくれました。

「あとは、思い切ってやるだけ。」

ほんの少しの言葉が、私のすべての不安を拭い去ってくれます。

私の迷いも、彼方へと飛ばし去ってくれます。

師匠はいつも、私の急所を見極めて、適切な言葉を、素晴しいタイミングで、プレゼントしてくれます。

「感謝」、この言葉しか思い浮かべることができません。
師匠への感謝。
後見さん・スタッフさんへの感謝。
多くの私を見守ってくれる皆さんへの感謝。
そして、まだ見ぬ今日のお客様への感謝。

感謝の渦が私を包み込むように、確かにここにあるのです。

そして、日本舞踊家として、未熟ながらもベストを尽くして、踊りぬくことを、こころの奥底で誓いながら、長唄【京鹿子娘道成寺】 の世界へと、実を沈めていきます。

もう帰らない旅へと旅立つような、そんなイメージで、【京鹿子娘道成寺】の世界へと、深く深く身を沈めていきます。

 

 

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